ものづくり最前線廣州益力多乳品(広州ヤクルト)「一般飲料と薬品の中間」 全世界26カ国・地域に進出しているヤクルトの世界23番目、中国本土で初めての製造販売会社が廣州益力多乳品有限公司(広州ヤクルト)だ。2002年6月の操業・営業開始から4年強の間、品質管理の向上に努め、工場管理から環境、食品衛生にまつわる各種の国際規格の認証を受けてきた。今夏には中国政府が与える最高水準の食品衛生管理の認証も取得、「安心、安全」をモットーに中国に住む人々の健康促進に貢献している。
なぜあえて最初に広州へ進出したのか。話は1984年にさかぼる。この年に営業部長として香港ヤクルトに赴任してきた、現在の広州ヤクルトの杉野等・総経理は販売の建て直しを図る中で、華南地区に目を向けた。現地スタッフとともに深センなどを視察、市場調査を進めたことで意外な事実がわかった。 広東省では香港の地上波テレビの電視広播(TVB)、亜州電視(ATV)が受信できる。1969年から営業を始めていた香港ヤクルトのテレビ広告は、自然とこの地に浸透しており「すでに8〜9割の人がヤクルトを知っていた」。深センなどで試飲活動をすれば、商品は瞬く間に無くなる。売れる、と手応えをつかんだ杉野氏は現地スタッフに香港地場の代理店を発掘。広州ヤクルトを設立するまでには、珠江デルタの主要都市で1日平均7万本の需要が確立されていた。 さらに元々広東省はヤクルトの類似品を含めて乳酸菌飲料発祥の地。ヤクルトには販売の基盤に加え、肝心かなめの水を確保できるとの目算があった。 ■規格取得の連続 02年6月の操業・営業開始からは各種規格取得の連続だった。 翌年には品質マネジメントの国際規格ISO9001と環境マネジメントのISO14001を同時に取得(03年9月)、続いてHACCP(総合衛生管理製造過程)を04年5月に得た。次に中国政府が優先的に推奨する商品との認定「国際標準」を昨年4月、そして今年8月に1年半以上の審査期間を経て、「保健食品」の称号も得た。日本で言う特別保健食品にあたる保健食品は、ヤクルトが一般的な飲料と薬品の中間にあたる商品であることを保証するもの。これによって「免疫調節」「腸内菌叢調節」と明記して消費者に訴えるヘルスクレームができるようになった。これを取得した企業は広東省では広州ヤクルトのみ。中国全土では、同社が知る限り、上海に工場を持つ台湾系の乳酸菌飲料メーカーのみという。 こうした認証取得を支えてきたのが厳格な品質管理。ヤクルトの元である乳酸菌から各製造工程、出荷まで検査127項目を設けて、安心と安全を確保している。 広東省を流れる東江からの水は、工場のある開発区当局がまず浄化し、そこからさらに広州ヤクルトが3重のろ過・殺菌工程をかけており、「店頭で売られるミネラルウォーターよりよほど質が良い」(杉野氏)。水自体は軟水であり、日本の一部で使われている硬水より「比較的処理がしやすい」(紺野秀雄・工場長)が、水だけでも検査項目32項目を設定し、中国当局が求める年1回の検査を同社は年3回実施している。工程を流れるヤクルトの温度は常に摂氏10度以下。工場内で作るプラスチックの容器も専用配管で無菌状態のまま充填工程に送られる。工場内の壁、床と天井が交わる角になる部分は丸みをつけており、ほこりがたまらない設計。米航空宇宙局(NASA)規格による工場内の塵埃(じんあい)数は通常のオフィス内の3分の1未満に抑えられている。 販売面は営業開始以来、右肩上がりで順調に伸びている。販路はスーパーやコンビニエンスストアに加え、ヤクルトレディ(現在395人)が回る高級マンションの居住者など。今年は前年比25%増の1日平均30万本の需要となる見通しだ。ちなみに同社公開資料によると、今年6月末時点の香港ヤクルトの1日平均販売量は約43万本という。 ■右肩上がり、1日30万本に 人々の生活が豊かになり、ある一定のエンゲル係数に達すれば、健康へと関心が向き、ヤクルトの需要は膨らむ。別の目安では、高くてもその土地の一般的な昼食代の半分以下となれば、ヤクルトの浸透度には加速がつく。今の広州市および広東省はまだその水準ではない。それだけに省全体1億人近くの潜在需要が十分な魅力を放っている。【広州・高田英俊】 [P R] [P R] [P R] |