フィリピン 2009年5月27日(水曜日)
配電大手メラルコ、トロイカ経営体制へ[公益]
配電大手マニラ・エレクトリック(メラルコ)の経営権をめぐる戦いが注目された26日の株主総会は、大きな混乱もなく終了した。食品・飲料大手サンミゲルと通信最大手フィリピン長距離電話(PLDT)の両雄がそろって代表を役員会に送り込み、ロペス財閥を含めて今後、トロイカ方式の経営体制が築かれることになる。【吉岡由夏】


役員の選任は当初12人の候補者のうち1人が辞退したため、最終的に定員の11人ちょうどとなり、投票は実施されなかった。会場は約1,000人の株主らで埋め尽くされ、総会は予想された混乱もなく、約1時間半で終了した。メラルコの買収を狙う公務員保険機関(GSIS)とロペス財閥の間で紛糾した昨年の株主総会とは対照的だった。
マヌエル・ロペス会長兼最高経営責任者(CEO)、ラモン・アン副会長(サンミゲル社長)、ホセ・デヘスス社長兼最高執行責任者(COO)ら重職は留任。サンミゲル会長のエドゥアルド・コファンコ氏ら5人の役員が退くとともに、新たにPLDTのマヌエル・パンギリナン会長とナポレオン・ナザレノ社長兼CEO、ePLDTのレイ・エスピノサ会長兼社長らが加わった。サンミゲル側の代表は4人、PLDTは3人、ロペスは2人で、数ではPLDT・ロペス陣営がサンミゲル陣営を上回った。
最高財務責任者(CFO)の役職は、サンミゲル上級副社長兼CFOを務めるフェルディナンド・コンスタンティノ氏に代わり、PLDTが推したベティー・シー氏が就任した。
■協調性をアピール
サンミゲルが保有するメラルコ株は37%で、「友人」の持分も合わせると43%になるという。一方、パンギリナン氏率いるPLDTとメトロ・パシフィック・インベストメント(MPIC)は計30%を保有。これにロペス・グループの13.4%を足すと43.4%になり、サンミゲル陣営と、PLDT・ロペス陣営の持ち株はほぼ互角になる。
ラモン・アン氏は株主総会後の記者会見で「サンミゲルはメラルコへの投資を目的としており、買収には関心がない」として、株の買い増しを否定。同社は通信、電力、石油への積極的な出資を通じた事業多角化を進めており、「今後も成長の可能性のある事業には投資していく」(アン氏)方針だ。
一方、パンギリナン氏も今後のメラルコ株の買い増しについて明言を避け、「サンミゲルと協力していきたい」と良好な関係をアピールした。PLDTはメラルコと光ファイバー網や電柱などの資産を共有することで、相乗効果を期待している。
■電気料金引き下げ
食品、通信、電力という3分野の大手が今後、どのような協調戦略をとっていくかは不透明だ。マヌエル・ロペス会長は来月末の役員会を前に今後の戦略について話すのは時期尚早としながらも、「3グループの提携により、より効率的で、よりダイナミックな組織に発展するだろう」と期待を示した。今後もシステムロス低減や発電源の選択に努力し、電気料金の引き下げを目指す考えだ。
さらに、現在審議中の上院法案3147号(一律営業税法案)が成立すれば、電気料金は確実に下がるとの見方。同法案は配電会社に対する30%の法人所得税や12%の付加価値税(VAT)などをすべて廃止し、一律3%の営業税を課すものだ。
ラモン・アン氏は「PLDTに代表される通信業界とメラルコが手を結び電柱を共有すれば、電気料金の低減につながる」と強調した。サンミゲルもリバティー・テレコムズ・ホールディングス(LTHI)やエクスプレス・テレコミュニケーション(エクステルコム)などへの出資を通じて、通信業界への参入を画策しており、相乗効果を狙っているようだ。