フィリピン 2009年7月28日(火曜日)
大統領施政演説、「強固な比経済」強調[政治]
アロヨ大統領は27日、就任後9回目となる施政方針演説(SONA)を行った。任期中で最後となる今回の演説では、「強固なフィリピン経済」を確立したとして在任8年半の実績を強調。注目された任期後の去就に関しては「任期延長に対する願望はない」とする一方、来年6月の任期満了まで、大統領としての職務に全力で取り組む意向を表明した。


施政方針演説は、マニラ首都圏ケソン市の下院議場で午後4時から約1時間にわたり行われた。大統領は自身の功績として、◇空前の経済成長率◇投資の増加◇歴史的な雇用増加◇債務比率の改善――などを挙げた。さらに、国際信用格付け会社の米ムーディーズ・インベスターズ・サービスがこのほどフィリピンの格付けを上方修正した点に言及し、「われわれの経済の弾力性が証明された」と語った。
具体的には、国内総生産(GDP)に占める債務の比率が2000年の78%から、08年には55%に減少した点に言及。政府系企業の債務や対外債務の対GDP比が半減したとも指摘した。
さらに、1人当たりの国民総生産(GDP)が任期中に967米ドルから2,051米ドルに急増したとし、貧困世帯が減少した点、6月のインフレ率が1.5%と、「1966年以来最低」になったことも強調した。
また、インフラ、電力面の環境改善にも自信を示した。スービック〜クラーク〜ターラックを結ぶ中部ルソン高速道路の開通をはじめ、国際基準を満たす空港やロールオン・ロールオフ(RORO)船対応の港湾施設の整備推進を挙げた。エネルギー関連では、再生可能エネルギー法やバイオ燃料法の施行を通じ、全エネルギー消費量に占める国産エネルギーの割合が48%から58%に上昇したと指摘。化石燃料への依存度が下がり、エネルギーの自給体制や環境保護への取り組みが推進されたとしている。
現在の経済環境では、世界的な経済減速が近隣諸国の輸出依存型経済に打撃を与える中、フィリピンはビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)と観光分野が活況を呈していると指摘。とりわけBPO分野は60億米ドルの売り上げと60万人の雇用を確保したと説明した。同分野では、情報技術(IT)関連の政策を手掛ける情報通信技術省(DICT)創設の必要性も訴えた。
教育面でも、技術教育・人材育成への投資額が、アロヨ政権以前の3代の政権時代の合計額の3倍に増えたことなどを挙げ、実績を誇示した。
治安の面では、共産党およびイスラム過激派組織のモロ・イスラム解放戦線(MILF)と和平交渉に明るい見通しが出てきたことなどに言及した。
■任期延長は否定
施政方針演説で大統領は、一部でささやかれていた任期延長の憶測を一蹴。「そのような願望は決してない」と否定した。一方で、任期後の政治活動については言明せず、国益のために残りの任期を務めると強調した。さらに、反対派を厳しく批判する中で、過去にクーデターの危機などに直面しつつも、戒厳令布告はしなかったとも述べた。
演説を開始するにあたり大統領は、現在、マカティ市内の医療施設で結腸がんとの闘病生活を送っているコラソン・アキノ元大統領の回復を願って祈りをささげるよう求めた。
■大きな混乱なし
治安当局はテロなどの事態に備え、下院議場周辺を中心に厳戒態勢を敷いた。議場付近では反対派の抗議活動が行われたものの、目立った混乱はなかったもようだ。