インド 2009年10月29日(木曜日)
中小企業庁、ムンバイで日本の工芸品を試験販売へ[商業]
中小企業庁は、インドで日本の工芸品の試験販売を実施する。今年12月から来年1月まで西部の商都ムンバイにアンテナショップを開設する計画。今月27日には、インドの富裕層向け雑誌の編集長を招き、品評会を実施した。「職人の技」の伝統を受け継ぎ高い品質を持つ日本の工芸品だが、海外での展開は十分とはいえない。こうした中、同庁はアンテナショップを通じ、外国での事業展開の経験が少ない中小企業の国際化を支援していく。【巣内尚子】
中小企業庁の担当者が28日、NNAに説明したところによると、アンテナショップはムンバイの高級ホテル、グランドハイアット内のショッピングアーケードに設置。運営は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのほか、マーケティングやブランディングサービスを手掛けるラ・ディッタ(本社・東京都港区)と同社のインド子会社マイド・エンタープライジズ(マイド・インディア)に委託する。実際の販売活動から得たマーケティング情報を企業に提供することにより、今後の海外展開に向けた商品開発に生かしてもらう狙いだ。
さらに、現地のバイヤーとの商談の場を提供することで、実際にビジネスに結び付けられるよう支援する。これまで中小企業が展示会などに出展したものの、それだけで終わってしまい、具体的な商談には発展しなかった例もあるため、「単発で終わりにせずに、ビジネスを具体化させたい」(三菱UFJリサーチの担当者)としている。
今回は、30社以上から100品目を超える商品の応募があった。三菱UFJリサーチの担当者は「あらかじめ開催した事前説明会でムンバイへの関心が高く、応募が殺到した」と説明。「当初は15〜20社に絞り込む計画だったが、最終的にはこれを超える見通しだ」と語った。現在は選考を進めている段階で、来月初めにも結果が発表されるという。
今回の取り組みは、地域産品の海外販路開拓のために中小企業庁が進める「アジア・中東 グローバルパスポート2010」の一環。同庁の担当者は「日本の工芸品市場は今後に大きく拡大するとは言い難く、事業の継続的な成長のために外国市場での展開に関心を示す企業もある」とする。一方、工芸品を扱う中小企業が海外に進出した事例は少ないため、こうしたプロジェクトを通じて「企業の海外展開を支援する」(中小企業庁の担当者)方針だ。
■まずは富裕層がターゲット
27日に実施した品評会では、陶器、木工品、織物などが並べられ、同庁や三菱UFJリサーチの担当者のほか、ラ・ディッタのハリー・チェン社長、さらにインドの富裕層向け雑誌「MARWAR」の編集長を務めるレシュマ・ジャイン氏が参加した。
ラ・ディッタのチェン社長は、「インドの富裕層は相対的に数が限られる半面、口コミなどで多くの情報をやりとりするなど、情報の発信力がある。このため今回の選考会にジャイン氏を招へいした」と説明。さらに、「消費には『こうなりたい』といったような動機を喚起することが必要なため、まずは富裕層に日本の商品の良さを知ってもらい流通を図ることで、その下の層にも広げられる」とした。
一方、この事業では、主に質の良い高級品を取り扱うが、昨年度(2008年4月〜09年3月)のインド国民1人当たりの年間平均所得は、3万7,490ルピー(インド中央統計機構=CSO=調べ)にとどまる。中間層を中心に購買力が上昇しているものの、まだまだ多くのインド人にとって高級品を買うことは難しい。さらに、インド人は価格に敏感とされる。
チェン社長はこれについて、「なぜその価格になるのか理解してもらうことが必要」と強調する。「手仕事であるために製造費が高くなることや、関税や流通などのコストについてきちんと説明していくことが、日本の工芸品を受け入れてもらう際に求められる」と語った。