インド  2010年12月9日(木曜日)
聖地バラナシで爆弾テロ:死者1人、日本人も負傷[社会]

北部ウッタルプラデシュ州にあるヒンズー教の聖地バラナシで7日夕、爆弾テロが発生した。PTI通信などによると、「アルティ」と呼ばれるヒンズー教の祈りの儀式に参加するため数千人がガンジス川岸に集まっていた中で爆発が起き、1人が死亡、外国人6人を含む37人が負傷した。けが人には日本人1人も含まれている。事件発生後、イスラム過激派組織「インディアン・ムジャヒディン」が犯行を認める声明を出した。



爆発が起きたのは午後6時半前後。ガンジス川西岸には洗濯場や巡礼者のもく浴の場として用いられる階段「ガート」が設けられており、事件発生時には、アルティに参加するため、ヒンズー教徒や外国人旅行者ら数千人が集まっていたという。

爆発で石の階段の一部が吹き飛び、20メートル先まで破片が飛び散った。パニックに陥った人々はその場から逃げようと押し合いへし合いになり、多くが転倒。爆弾は、ガートの下に停車していた牛乳運搬用のバンに隠されていたもようだ。

亡くなったのは生後11カ月の女児で、母親の腕に抱かれてアルティに参加していた。搬送先の病院で死亡が確認されている。このほか、爆破の影響や転倒などで37人が負傷し、3カ所の病院に運び込まれたもよう。外国人では、日本人のほか、韓国人とドイツ人、フランス人が1人ずつ、イタリア人2人がけがを負ったとされる。

日本外務省領事局邦人テロ対策室の担当者が8日、NNAに説明したところによると、日本人では現地を旅行中の男性1人が軽傷を負った。現在、連絡が取れる状態にあり、命に別状はないという。一部報道では日本人女性1人が負傷したともされるが、これについては「確認が取れていない」(担当者)という。この2人以外にもけが人がいないかどうか、今後に確認を進めるとしている。

■警戒態勢を強化

インディアン・ムジャヒディンは現地の報道機関に対し、電子メールで犯行声明を送付。その中で、1992年のヒンズー教徒によるウッタルプラデシュ州アヨディヤの「バブリ・マスジッド(モスク=イスラム教の礼拝所)の破壊を非難するほか、モスクの跡地がヒンズー教徒とイスラム教徒にそれぞれ帰属するとした今年9月のアラハバード高等裁判所の判決にも不満を表明している。

バラナシでは2006年、パキスタンを根拠地とするイスラム過激派によるとみられるテロが発生。ヒンズー教のサンカトモチャン寺院や鉄道駅が連続爆破され、20人が死亡した。地元の治安当局はバブリ・マスジッドの破壊から18年目となる今月6日、厳重な警戒態勢を敷いていたが、翌7日にそれを緩めたすきを突かれた格好だ。なお、サンカトモチャン寺院は今回の事件現場から2キロメートルほど離れた場所にある。

バラナシは「バックパッカーなど日本人旅行者にも人気の観光地」(在インド日本大使館)で、常に多くの日本人の姿が見受けられる。外務省は今回の事件を受け、インドのテロの脅威に関する注意喚起の渡航情報を出す予定。

ピライ内務次官は今回の爆弾事件がテロであることを認め、全国的に警戒宣言を発令した。特に首都デリー、西部マハラシュトラ州ムンバイ、南部のカルナタカ州バンガロール、アンドラプラデシュ州ハイデラバードの4大都市で警戒態勢が強化されている。

チダムバラム内相は宗教行事を狙ったテロに対し、「間違った主張を行うグループによる平和と安寧を脅かす行為を非難する」との声明を発表。一方、シン首相は平静を保つよう市民に呼び掛けている。

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